小説「ベジソルジャー」2

【目次】

・プロローグ1⇒http://estar.jp/_work_viewer?p=1&page=1&w=24821069&ws=0

・プロローグ2⇒http://estar.jp/_work_viewer?p=7&w=24821069

・1⇒http://estar.jp/_work_viewer?p=12&w=24821069

それから数か月。ギラギラの日光がジャンに降り注ぎ、アカの畑では収穫のときを迎えた。

はち切れそうな赤い実がたくさん生っている。アカはそのひとつをもぎ取り、がぶりと頬張った。実に詰まっていた水分がしぶきをあげ、口いっぱいに甘さが満ちた。

「うまい!」

普段はおとなしい性質のアカだが、収穫の喜びは抑えきれなかった。半分かじった実を太陽に掲げたあと、もう一方の腕もあげて万歳した。

収穫の作業を続けようとするアカだったが、いきなりクラクションが鳴って飛び上がりそうになった。後ろを振り返ると、白いトラック。シロが笑っていた。

「かっこいいポーズしてんじゃん」

あの万歳は収穫の舞のようなもの。それを見られてしまい、アカは顔から火が出るほど恥ずかしかった。

「アカが作った野菜、今年も食べさせてよ」

実を選別するふりをして顔の色が収まるの待ってからトラックまで駆け寄り手渡した。

「ありがとう」

シロが口に運ぶと、毎年のことながらアカはドキドキした。

「やっぱりおいしいね。アカの野菜は。最高だよ」

シロが満足そうだったから、アカはようやく安堵した。

「そりゃそうだ。うまいに決まっている。で、お前はどこに行くんだ。また、ドライブに誘いにでも来たのか?」

すると、シロはかぶりを振った。

「アカが収穫で忙しいの知ってるのに、さすがの私も呑気に誘わないよ。これからロマンチアに送られる分の野菜を届けに村役場まで行くんだ」

トラックの荷台には楕円形に太った白い野菜の実がたっぷりと積んであった。シロの畑で作られる白い野菜は、本格的に気候が暑くなる前に収穫される。今は1年のうちに2回ある種まきを前にした休息期間に入っていた。

「それはご苦労さん」

アカが気遣うと、シロは「じゃ、行ってくるわ」とエンジンをかけ、運転席の窓を閉めた。

ところが、今にも走り出そうとしたところで、また窓を開けた。

「そうそう。来月あいつが村に帰って来るんだって。みんなで会わない?」

「あいつって誰だ?」

「あいつって、キイに決まってるじゃん。アオやミドにも伝えといてよ。お願いね」

「キイか。それは楽しみだな……って、自分で伝えればいいじゃないか」

「ミドはいいけど、アオと話すのはめんどくさいもん。じゃ、よろしく」

アカの返答を待たずに、シロは猛スピードで去って行った。

続きは、こちらから⇒http://estar.jp/_work_viewer?p=28&w=24821069

■小説「たいまつバンク」公開中⇒http://estar.jp/_work_viewer?p=1&page=1&w=24614597&ws=0